野谷荘司山

2012年1月8日
野谷荘司山 山スキー 【白 山】
山行記録・事故記録    
大祐、千尋、近藤、他1名

メンバーのDちゃん、M君からスキーに行きましょー!と山スキーのシーズンが始まってメールが来ていた。
今年は降雪が少なく未だ入れる山も限られる。
M君も山スキー初デビューなので、樹林帯は厳しいであろう。
ならば先日行った野谷荘司なら大丈夫じゃないかな?などと勝手に思い込んで計画した。

昨年Dちゃんと一緒に来たミッキーさんも同行し、4人での山行になった。
東海環状美濃加茂サービスエリアで待ち合わせし、早朝出発。東海北陸道の高鷲辺りにも道路に雪は無い。
あら、正月から積雪は増えていないのか?などと話しながらなおも北上する。
荘川を過ぎる辺りから道路にも積雪が出てきて長いトンネルをくぐると白川郷ICに着いた。

集落で計画書を投函し白山スーパー林道のトヨタ自然学校まで登りあがる。
合掌家屋にはたくさんの雪が乗っている。まだ日が昇る前の薄暗い中、もくもくと準備を進める。
M君も初めてシールをスキー板にはめて今日の山行に笑みを浮かべているようだ。
さあ、行きましょー。

冬期閉鎖の白山スーパー林道を料金所までトレースを追う。
いつもの夏道は最初が急登なのでそれを嫌い幾分手前の顕著な尾根末端から取り付く。
トレースに沿ってきたがどうやらつぼ足組のトレースになってしまった。
まあいいでしょう、ここからはラッセルしていきましょう。

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M君のためにも少し斜度を緩めにトレースをつけるが
ちょっと気を抜くといつもの急なトレースになってしまう。
急なところではM君、後ろへ滑って苦労していたが次第になれるでしょう。
甘やかしはしません。遅い人は置いていきます!笑

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次第に歩行にも慣れ、といっても初めから結構上手に登っていた。これは以外だった。
慣れてくると今度はラッセルしたいと言い出した。
M君、ラッセルは5年早い!と言ったものの背に腹は返られない。
がんばってくれー!だがラッセルでのキックターンも見てられない、早々に追い抜いた。

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 真っ白な厳冬期特有の柔らかな雪肌が朝日に反射して美しい。
冬山はいつ来てもいいなーなんて思いながら高度を上げていく。
幾分風が冷たく樹林を抜けると無木立ちのオープンバーンになるのでその手前の小さな雪屁下で休憩とした。

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 ここまでは至って順調、この分だと野谷荘司は取れたもんだ。
休憩前に単独の方に追いつかれてラッセルのお礼を言われ、山頂を目指して行った。
ここからはトレースを追うことになる。
一登りすれば斜面が開けてきて白川郷集落も眼下に見え、いつ来てもいい景色である。
荘川を挟んで反対には猿ヶ馬場山もすぐそこに見える。

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 しかしM君には帰りの不安があるのか、さえない顔をしている。
こんなところ滑れません。大丈夫、転んでもこの雪では痛くも無い。
急斜面の怖さなどしばらく感じていない私には理解不能、大丈夫だとしか言いようが無いのだ。笑
現にこうやって記録を書いて皆無事にいるから大丈夫だったってことであろう。笑

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 高度を上げるにつれその不安も大きくなる。上まで行く体力はあっても滑る自信はない。
そんなこと言われてはここから下るしかなかろう。
とはいってもここからの滑り出しも斜度は上と変わらない、ただ距離が短いだけなのだ。
ショートターンが出来ないので東面の沢は却下して本谷への下りを選択した。
白谷のドロップポイントを眺めながらここからの滑り出しには少々納得できないが、
滑れない不安を抱えるM君にはそんなこと知ったことかであるよなー。

 早速シールを剥がして滑降準備をする。さあ、行きましょうかー。M君にトップ行かしてあげるよー。
いつもの文句が出た。M君、意を決して大きく回りこんでターン、あっこけた。
早速山スキーの洗礼である頭から真っ白で立ち上がってくる、なかなか立てないで、もがいた末だった。
誰もが経験した辛い転倒、そのうちこけなくなるから安心しなさい。
とここでは本人には言わなかったがそうしたものだ。
Dちゃんも昨年は転倒していたが今は安定した滑りができるようになった。
みんなそのうちおじさんを抜いてスッっと滑っていってしまうんだろうなー、
本人たちはそんな先のことまで今は考えられる余裕は無いか・・・。
沢状地形を白谷の本谷へ向かって降りていく。
次第に狭まる沢と傾斜に苦労しながらも何とかM君何度も転倒しながら降りてきている。
喉の狭まった部分を抜けしばらくいくと本谷へ合流する。周りは急な斜面が本谷へ向いている。
あまりのんびりはしていたくないので休憩はとらずに高度を下げる。

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 白谷と合流して少し高度を落とすと今度は積雪が少ないのであろう、沢の滝が顔を出している。
上部からも確認できたので難なく脇をクリアできた。念のため後続の皆にも伝えて通過。
徐々にこの白谷の最狭部のS字の喉の部分に近づいてきた。
昨年は凄いデブリでDちゃんも通過に難儀していた。

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 S字手前で合流して緩斜面になった本谷をM君が下っていった。
少し小高い段差を右から回り込みその先のカーブで、あっまた転倒だ、
それも谷側へこけたのでずるずるっと斜面を転倒したまま滑っていった。
その先は我々がいるところからはカーブになっていて見えなかった。
すぐに私が後を追って滑り込むとそのカーブの先のS時を抜けていったのかM君の姿が見えなかった。
早く行ったなー、とその瞬間いや、シュプールが無い。
後ろを振り向くと先程転倒したところから滑り落ちた跡がぽっかり空いた沢の穴へ続いているではないか。
頭が一瞬真っ白になった。あちゃー、沢へ落ちたぞ。それに穴には姿が無い。
流されたか、穴の口元に雪が落ちた跡もあり下敷きになったか?
一瞬であったがいろんな不安な状況が頭の中を駆け巡っていた。
すぐにDちゃんやミッキーさんも降りてきて私の穴に落ちたことを聞きびっくりしていた。
大声でM君を呼ぶが反応なし。沢の口元へは容易に近づける状況ではない。
まずは本人の居場所を特定せねば、皆にビーコンを捜索モードにするように指示をした。

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 この間、Dちゃんゾンデとスコップを準備。ミッキーさんと私で捜索。
方向は穴の方へ5mと表示された。
右岸側の穴の下流側にいた私からは手前の真下が見えにくいが対岸にDちゃんがいた。
徐々に穴に近づくとM君の頭が見えた。這い上がってきたのだ。
このときは本当に安堵した。穴から上がるにも2mほど段差がある。
Dちゃんのいる左岸の方の弱点を指示してスコップで雪を落としてもらい斜面を引きずり上げてもらった。

 本人曰く、転倒したまま逆しまで沢の音が近づいてきてスローモーションのように落ちていった。
その後沢を下流側へ落ちていったという。何とか体勢を変えて止まったらしい。
冷静に判断できて良かった。また水量も少なく、あいにく緩斜面で滝が無かったことが幸いした。
ビーコン捜索をこんなところでするとは。でも初めて訓練以外で捜索した。

 びっしょり濡れたザックや衣服、寒いから休憩どころじゃない、さっさと車へ戻りましょう。
先行者のしゅっプールがあり助かった。
白谷右俣と合流する最初の堰堤はまだ本体がすっかり姿を表わしている。よほど積雪が少ないんだなー。
右岸のシュプールに乗っかり高速道路のように、
水で濡れた重いザックを自分のザックにくくりつけかなり後重心の我が身を踏ん張りながら飛ばして下った。
あっという間にスーパー林道に出て、朝の深いトレースの中を滑り車に戻った。

 やれやれ肝を冷やした山行でもあった、
あの時は奥さんの顔も頭に浮かんだよ!怪我も無く笑い話になったのは本当に良かった。
若いM君には今のうちにいっぱい恩を売っておこう。
数年後にはラッセルという形で恩返ししてもらうから。笑
記録:近藤



以下、事故当事者“千浩君”の報告

【事故~脱出】
 白谷を下降し傾斜も緩やかになり気持ち的に余裕が出来たので、
自分が先に滑りはじめたところ、少し先に段差があったため止まろうとしたところ
勢い余り谷側へ頭から転倒。

頭を下にしながら段差を1mほど滑り落ちたが、
これは急斜面でもあったため何とも思わなかったが、
上から見ていた段差よりも落ちて行く角度は急であったように感じた。

それが止まるのと同時に水の流れる音を聞き、
どんどん大きくなるそれを聞いて流されると思った。
どのくらい落ちるのか、下は釜なのかスラブなのか滝なのか
まったく見当がつかなかったが無事には帰れないかも、最悪の場合・・・。
と考えるのと同時に反射的に足を下にするためにもがいていると
雪の上を滑るような感じでなんとか足から落ちる事が出来た。

滝の形状はスラブで高さ2.5mから3mほどに感じた。

水量は多く、中綿の入った手袋はすぐに濡れて重くなった。
身体やブーツはすぐに濡れずじわじわという感じ。
板は流れ止のコードでつながっている為、足の自由が利かない・・・。

上流を見ると自分が作った穴がぽっかりと開いており、
そこだけが明るく登り返せといわんばかり。
声を出すも反応なし。

登り返すにはまず板を外さなければいけないが、立ったままコードを外すのは難しい。
仕方なく水を浴びる覚悟で屈みこみ素早くコードを外し板とストックをスラブの上へ放り投げた。
次は自分の番だと登ろうにも手がない、足はスラブで立てない。
どうしようかと周りを見渡すも、右側は水流が強く登るなら左側が良いように感じた。
ちょうど左側にはガバではないがホールドがあり左手でそこを保持、
左足は左手の下にある石に乗せたが身体の使い方を間違いバランスを崩した。
次は登れると右足を上げるもスキーブーツでスメアがすぐに出来るわけもなく滑り落ちる・・・。
3度目の正直で慎重にスメアをこなし強引にマントルを返す。
ほっとして周りをみるとみんながいる。
右岸下流には近藤さん、左岸には木股さん、ミッキーさん。

雪面までは2mほど。
右岸側より左岸の方が登りやすそうということで、
雪を崩し足場を作るも這い上がるには厳しい感じ。
ミッキーさんの差し出してくれた板をつかみ途中まで上がるも
手袋がすべり落ちそうだというと二人に両手をつかまれ一気にごぼう抜き。
なんとか脱出。

怪我もなく濡れただけで済んだので、着替えずに帰ることとした。

【反省】
 山スキー初めてということで、まともに滑ることが出来なかったため、
皆の足手まといとなってしまった事をカバーしようと先に行ってしまった。
自分以外であれば危険個所と気づくことが出来たと思う。
実際、下降途中で滝が出ており下流にも滝が出ていることは容易に想像できた。

 スキーが不慣れな状態で本番に行ってしまった事。
もっとゲレンデで練習するべきだったと感じている。











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