石徹白川 初河谷

2013年8月16日・17日
石徹白川 初河谷 【初河山】
近藤・美香子

8/16
美濃加茂5:00=美濃加茂IC=東海北陸自動車道=白鳥IC=駐車場7:25-八反滝7:55/8:20-
八反滝落ち口9:50/10:15-2つ目の滝(25m滝)10:45/11:00-落ち口12:10/12:55-
3つ目の滝(12m滝)13:15/13:35-落ち口14:40-天場15:00
8/17
起床5:00/7:00-4つ目の滝(10m滝)7:10-5つ目の滝7:15/7:30-滑床-休憩8:00/8:40-
天場9:20/10:00-3つ目の滝落ち口10:20-滝壺10:40/11:00-2つ目の滝横の枝沢落ち口11:20-
滝壺11:40/12:00-八反滝上12:30-八反滝前ベンチ16:00-駐車場16:25=白鳥IC=
美濃加茂IC=美濃加茂18:20

美1-P1020318

【1日目】
 今回の山行は、「やさしい谷」の予定だったけれど、
事前に「初河谷」をネット検索して記録を読むと、大滝が4つあり、
どれも高巻きで越えているから、大丈夫なのかと不安でいっぱいになった。
でも、「やさしい谷」という予定だったから、検索した記録のひとつにあった仕事道を行き、
途中から沢に下りて滑床まで進むのかなとも考えた。でも、その考えは全く甘かった。
大滝は全て高巻きで越えるという予定を聞き、不安がさらに増した。

美2-P1020322

美3-P1020328

 駐車場から八反滝までは登山道。八反滝前にはベンチが2台。
確かに見事な滝だ。早々に沢へ下りて右岸からの高巻きを始める。
草付きを下流方向に向かって登り、藪や樹林帯を上流に向かってトラバースする。
八反滝の落ち口に着いたのは1時間半後。疲れた…。
まだ大滝は地図に載っているだけでも3つ残っている。大丈夫かな…。不安はさらに増す。
でも、ちょっと進んだ右岸の枝沢に見事な見事な滑滝が姿を現した!
板状節理を跳ねながら落ちてくる水は、太陽の光を受けてきらきらと光っている。
「きれい!」しか出てこなかった。

美4-P1020331

 しばらくゴーロを歩くと、2つ目の滝が出現!これもまたお見事。
でも、当然のことながら高巻きが待っている。
滝から離れた右岸から高巻きを始めるが、ここは慎重を期してザイルを出してもらった。
トラバースの途中でちっちゃな枝沢があったけれど、
これはまだ滝の手前だったので、さらにトラバース。やっとの思いで落ち口に到着。
藪、枝、根っこ、ありとあらゆるものをつかんで沢に下りるから、沢グローブは泥だらけ。
知らない間にザック横のネットには葉っぱのくずや木の皮が入り込んでいる。
天場候補地を考えながら先に進む。
3つ目の滝も今日中に越すことにするが、とにかく「もう高巻きはいやだ…」。
でも、そんな思いは叶えられるわけはない。

美5-P1020333

美6-P1020335

 今度は左岸の笹薮から取り付き、高巻くことになる。
ルートを説明してもらい、近藤さんの後に続くが、滑って取り付けない。
ところどころ近藤さんに出してもらうシュリンゲがとってもありがたい。
ある程度登ったら、次は上流に向けてトラバース。ザイルを出す。
何とか岩に取り付くことができたけれど、そこからが大変。
「両足をしっかり踏ん張ってきてよ」って言われたってね…。
左足を大きく上げたけれど、両手にうまく力が入らない。
思い切って踏ん張ったのに、大きく上げて踏ん張った左足が滑った。
もうダメ…。前にも進めない、もちろん後ろにも戻れない…。今回は2人だけ…。
近藤さんは視界に入らないところで確保してくれている…。頼りになるのは自分だけしかいない。
自分の力で前に進むしかない。もう一度チャレンジ!
左足が滑り落ちないようにだけを考えて両手、左足に力をグッと入れる。
せいの!……やった!あがれた。
(あがれないと困るのだけど…)3つ目の滝の落ち口に到着してからは、
天場を探しながらゴーロを進む。左岸に水面から高めの平らな場所が見えた。
薪になる流木も豊富。

美7-P1020340

 今夜の天場、決定。ザックを下ろして、すぐに薪拾い開始。近藤さんは整地。
快適に過ごせそうな天場づくりに精を出す。
 コーヒーで一休憩してから夕飯の準備にかかる。
メニューは、「カレー、麻婆茄子、海草サラダ、わかめスープ、デザートの杏仁豆腐」と豪華。
近藤さんは、山でひもじい思いをするのはいやだそうだ。
でも、いったい何人分なのか…ってくらいの量。でも、おいしかった。
杏仁豆腐は明日の朝に食べることにする。

美8-P1020344

7時を過ぎるとあたりも暗くなり始め、ポツポツと星も見えるようになる。
雲の流れが結構あり、星も見えては隠れ、隠れては見えの繰り返し。
そのうち雲が減り、結構な数の星が夜空に輝き始める。
月明かりに岩が白く照らし出されてこれもまたいい。そしてオレンジの焚き火。
最高だ!人工のものといえば、自分たちが持ってきたものだけ。
自然に囲まれる気持ちよさを満喫(虫さえいなければもっといいけど)。

美9-P1020345

 明日は5時起きと決め、シュラフに入る
(その後なかなか眠れなくて、明日は大丈夫かなという不安がよぎることになるが…)。
近藤さんはというと、寒くてカッパを着て、その後焚き火の近くで寝ることにしたらしい。
とってもこまめに焚き火の火を絶やさないように火の番をしてくれた近藤さんに感謝m(_ _)m。

美10-P1020348


【2日目】
 5時起床。お湯を沸かしてコーヒーを飲む。
昨日使い切れなかった野菜を切ってラーメンの具にする。
朝は「ラーメン、きゅうりのサラダ」。これだけでおなかはいっぱい。
昨日食べられなかった「杏仁豆腐」はまたもや食べられず、撤収後に食べることにする。

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 荷物はそのまま、必要最低限の装備で上流を目指す。
4つ目の滝は右岸から巻く。またもやザイルを出してもらって登る。
「これで目指す滑床だ!」と思ったら、ちょっとイメージとは違う景色。
進むと、またもや滝が出現。
板状節理に流れ落ちる水が跳ね、きらきら光るきれいな滝。これも右岸を登る。

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 すると、すると、はるか遠くまで続く滑床!そこを水がさらさらと音を立てて流れていく。
なんともきれいな、初めてみる景色。行けども行けども滑床。
緩やかな傾斜を流れる水の中を行く。「きれい」「すごい」しか口から出てこない。
水の流れのない滑床でしばらく寝転ぶ。
横を向けば、目線と同じ高さに流れる水がある。なんとも不思議。
 滑床を堪能し、天場へ戻る。どの滝もザイルを出して懸垂。
天場に戻り、撤収する。残していた「杏仁豆腐」を食べて駐車場を目指す。

美15-P1020369

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 3つ目の滝は懸垂で右岸を降りる。
昨日は、あんなに苦労して高巻いたのに、懸垂であっという間に降りる。
2つ目の滝はザイルが足りないから巻くことにするが、
ちっちゃな枝沢で懸垂ができるならということで近藤さんが様子を見に行く。
近藤さんの呼ぶ声で私も枝沢を下る。
「空中懸垂だけど、行けそう」の言葉に、「空中懸垂か…。」
その高さを見てさらに「えー、高すぎる…行けるのかな…。」
近藤さんから話を聞き、懸垂の準備をする。
「最初の足場、気をつけてよ。」と言われても、
体は一瞬振られるから気をつけていてもどうしてもグッと踏ん張ってしまう。
その瞬間体が下がる。「怖い…」。
「右手さえちゃんとコントロールすれば大丈夫だ」と自分に言い聞かせてゆっくりと降りていく。
途中から体は滝側にくるりと向きを変える。何とか行けた。沢に下りてほっと一息。
この調子で行けば、後は八反滝だけだから、
「お風呂に入り、おいしいご飯を食べて帰ることができそう」
という近藤さんの言葉に、うれしくなった。
しかし!しかし、今回の山行で一番大変だったのはここからだった。
 八反滝は懸垂では降りられないから、当然巻くことにする。
昨日来た道を戻るイメージだったけれど、
少し早く下ったことで、ザイルを何ピッチか出すことになった。
枯れ枝に気をつけて、笹薮、枝、根っこ、目の前にあるありとあらゆるものをつかみ、
支点の木のあるところまで下りていく。
途中、ずずっと滑って曲がった松の木にお尻がのっかったことがあった。
ここで冷や汗をたっぷりかいたけれど、これで終わりではなかった。
大木を支点にした時は、ダブルのザイルが片方取ることができなかった。
ということはシングルで行くしかない。ザイルは回収するから………。
セルフビレイはザイルの位置よりも高い位置でとっているから、
カラビナやシュリンゲを回収できるように……。パニクッてしまう。
懸垂を始めると、ザイルが途中の木の枝にひっかかっていて
そのひっかかりをうまく解消できずに苦労する。
そこからさらにザイルを出して懸垂。
今度はザイルが斜め左下にあるけれどまっすぐに下りるわけだから、
あと3mくらいというところでザイルがザックとお尻の間に挟まれて
自由が利かなくなる。何とかザイルを直して到着。
そこからは、草付きの傾斜がきつい上、支点がないため、
もう一度登り返して下流へ行ってから下りるという案を聞き、
大げさだけど「両腕両足、もう限界…。もはやこれまでか…」なんて思う。
それでも確保されて登り返す。泥で滑る。
つかむ草は泥に根を張っているからゆるくて力をかけられない。必死に登り返す。

美19-P1020390

 どうにかこうにかたどり着いたけれど、まだまだある。
次が問題…。コース開拓の近藤さんが、「最初からいやらしいな…」ってつぶやく。
「近藤さんが難しいとこを私なんて行けないよ…。
もう両腕両足は限界だし…」って心の中で叫ぶ。
「ランニング、細かく切っていくで、がんばって回収してきてね。」
っていう言葉に「はい。」と答えたものの、「いいけど、その前に私は最初のところを登れるのか。
ランニングビレイまで行けるのか…。」と心の中でつぶやく。
「とにかく、ロープを頼っていいから、引っ張りあげるから。」
っていう大きな声に「はい!」と大きな声で答える。
さて、行くぞ!その前に、セルフビレイを解除しないといけない。
それは近藤さんが取ってくれていたから、背の低い私には届かない。
背伸びしても無理。何とか右上の出っ張りに足を置いて解除。
今度こそ!またもや昨日と同じだ。左足を置く場所が高く、ひざしか乗らない。
両手を置く場所やつかむ場所がうまく見つからずに踏ん張っても体が上がらない。
「そうだ。ロープを頼っていいって言ってたっけ。」でも、
ザイルにはテンションがかかっていないからこの状態では無理。
何度も「テンション!!」って叫ぶけど、滝の轟音にかき消されて近藤さんには届かない。
「どうしよう…。でも行くしかない。」「せいのっ」すると、
ザイルに強いテンションがかかり、体も上に動いた。タイミングよく引っ張られて一段上へ。
ランニングビレイを何とか回収して次へ。
あまりにも遅いものだから、私が安定しているかを確認してから近藤さんが様子を見に来る。
少し出っ張った岩を越してしまえば何とかなりそう。
コースを確認して、「OK!」の声の後に、一段上がったところから出っ張った岩を越すことにする。
何とか越して、あとはその先にある藪を下っていくが、
藪にザイルが引っかかっているからそれを直し、下へザイルを下ろすのにも苦労する。
ちょっとコースがずれたけれど、何とか八反滝前のベンチにたどり着いた。

 何とか無事に帰ってこられたよ。時間は4時。予定していた倍の時間をかけてしまった。
のんびりお風呂とおいしいご飯なんていう余裕はまったくなくなった。
駐車場まで急ぎ、いつになく急いでハーネス、ヘルメット、スパッツ、靴などをはずして片付けた。美濃加茂に着いたのは、6時を過ぎていた。
 私にとっては、いろんな意味で初めて経験することがとっても多かった。
それに、情けない自分だったり、意外とできる自分だったり、
決定的に勉強と技術と体験が足りないことを強く強く自覚した自分だったり、
…いろんな自分を経験した気をする。
何よりも、こんな私を2日間支えてくれた近藤さんには、
本当に感謝!!ありがとうございました。
それにしても、あの上流部分の滑床はほんとに見事で、とってもきれいだった。
記録:美香子

美20-P1020372

 この山域は山スキーで入山する素晴らしいフィールドである。
沢登りでも以前から気になっていた初河谷が気になっていたのもあり、
当然今回はチャンスだと思い計画をした。
不安な美香ちゃんには私が登って引っ張るから大丈夫と気休めの言葉を掛ける。
私の見た記録でも結構難儀をしている記録もあったが、
もっとルートがあるはずとさほど気にも留めなかった。
滝はどれも登攀は不可能だが迫力もあり見応えある綺麗な滝が多い。
板状節理の側壁やそれらから落ちる支沢の滝も抜群に美しく、
何と言っても今回どうしても見たかった滑の沢床は
本当に素晴らしいとしか言いようのないものだった。
奥飛騨の沢上谷の滑もいいが、それを上回るのは間違いない。
もっと手軽に来れるなら沢上谷よりもこちらを選択するのは間違いないだろう。
水に綺麗に洗われた岩肌も美しく300mは続くだろうか?
曲がりくねった沢の先はいつまでたっても滑床が続いた。
やっと滑の床が途切れると沢は狭くなり屈曲しながら丸山への稜線へ向かって高度を上げていった。
今回はここまでとして引き換えし幕場のデポした荷物をパッキングし、
行きに高巻いた滝は懸垂を交えながら下って行った。
残置スリングの支点が1カ所。あとは立木ですべて支点が取れる。
今回の八反滝の下りは早めに滝のすぐ下に回り込み
いやらしい草付きを嫌い一度途中まで下りたが登り返したのは
ルートミスだったとベンチまで下った時点で確認できた。
あのまま下っても斜度が緩み草付きを下流側へトラバースできたことが
後になってのルートミスに気付くとちょっとショックであった。
それほど沢屋が多く入山している気配もなく
この辺りの沢でも楽しめるいい沢であったことは間違いないだろう。
しかし美香ちゃんも本当によく頑張ってくれました。
弱音もはきつつも頼もしさを感じた山行でした。ありがとうございました。   
記 近藤























































































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